食中毒を引き起こす細菌やウイルスにはサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオやカンピロバクターの他にも腸管出血性大腸菌やノロウイルスなどがあります。例えばサルモネラ菌に感染した食品を食べると6時間から48時間ほどで吐き気や腹痛、下痢や発熱などの症状が起こります。この細菌は加熱が不十分な卵や肉、魚などに付着しており乾燥に強く熱に弱いのが特徴です。他の細菌やウイルスも基本的に熱に弱いので、適切な温度管理を行っていれば被害を防ぐことができます。
黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や鼻腔、口腔内にいる細菌で傷やニキビに触れた手で食品に触れると感染します。この細菌も熱に弱いため加熱処理を行うのが基本ですが、熱に強い毒素を作り出すので注意が必要です。一旦毒素が作られると加熱しても食中毒を防ぐことができません。温度管理を行うだけでなく加熱処理後に細菌やウイルス、毒素などが混入しないよう総合的な対策が必要になります。
HACCPはハサップやハセップと呼ばれる衛生管理手法で、様々な危害要因の分析に基づいて適切なルールを定め全工程を対象としたリスク管理を行います。この手法を導入すれば全工程で温度管理が行われるだけでなく、毒素など危害要因ごとに適切な対策を講じることになります。食品工場を安全に運営するためにはHACCPを導入して全工程で温度管理を行うのが基本です。さらに個別の危害要因ごとに適切な対策を講じれば食品の安全を守ることができます。
日本ではHACCPの導入と運用が義務化されており、多くの食品工場でこの手法に基づく温度管理が行われています。